ポンコツでも丁寧に暮らせますか?

丁寧な暮らしをまだ諦めない、ガサツでポンコツな母ちゃんの日記

大人に幻滅した話。

今でもふと、思い出す出来事がある。

 

久しぶりにその事を思い出したのは、昨日届いた子供宛の本が、クラスの嫌われ者の話だったから。

 


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(ジャガイモだけは切りたがる子供たち。)

 

 

私が小学生の頃、クラスに女子から避けられていた男の子がいた。理由は【臭いから】。定番の嫌われポイントだ。

 

彼は、同じ服の日が多かった。裕福な家庭ではない事はわかっていた。確かに少し臭ったが、そこまで大したことはなかった。頻繁に、臭い!臭い!と言われる様になったのは、彼が夏に骨折してからだ。ギプスが洗えず、その臭いが強烈だったのだ。

 

だけど、ギプスが取れた後も、臭い臭い!と言われ続け、彼を避ける行為は続いた。特に女子からは酷く避けられていた。彼は、精神的に大人だったと思う。毎日毎日、そんな心ない事を言われ、触られたらやだ!とか、触ると移る(何が?)からと、机を運んで貰えなかったりしても、酷く落ち込んだり、周りにキレたりすることは少なかったと思うし、周りへの接し方がいつも感じ良かった。(私の知る限りでは。)

 

私は、本気で彼を避け続ける同級生を見てウンザリしてたし、彼の精神的な強さに気づいていた。が、そんな私も、仲の良い友人と彼をからかって、校庭を追いかけ回されていた。(してたんかい。)

でも、明らかに違うのは、その時はいつだって、私達も彼も笑っていた。私達は、お互いに、それを楽しめる許容範囲を知っていた。

 

小学校5年生のある日、それは起きた。

 

担任は人気のある男の先生だった。冗談を良く良い、イラストも上手で、面白い先生だと明るい女子グループから人気があった。だけど、私は何故か、その先生には話し掛け難さを感じていた。その事とは関係ないけれど、先生は信仰心の厚いクリスチャンで、給食の前には必ず何か祈っていた。

 

ある日の掃除の時間、いつものように彼を嫌がる女子達。

 

掃除の為に教室の後ろに寄せられた机を、今から元の位置に戻そうとした時だったと思う。彼の後ろにいた先生が彼の背中に向かって、あるジェスチャーをしたのだ。

片手で自分の鼻をつまみ、もう一方の手で鼻の前の空気を仰ぎ、【臭い!臭い!】と口パクで言っている。彼はそれに気づかない。先生は、周りにいる私たちに向けて、それをしたいたのだ。

 

私は何が起きたか理解するのに少し時間が掛かった。

理解した瞬間、泣きたかった。見てはいけないものを見た気分だった。

とても悲しかったし、深く深く傷ついた。

11歳のねぎには理解できなかった。

先生はどんなつもりで、これをしたんだろう。

とにかく、ねぎは悲しかった。

誰かとこの気持ちを共有したかった。でも、出来なかった。

 

その事を彼は知らないだろう。絶対に知って欲しくなかった。

 

大人に対する信頼を一気に崩されて、私は先生に対して嫌悪感を抱くようになった。私の気持ちが伝わっていたのだろう。先生は、二人きりになった時でさえ、私に話しかける事はなかった。

 

今でも時々、この日の事を思い出しては悲しくなる。

11歳のねぎに言ってあげたい。大丈夫、あなたは間違ってないよ!と。